抗がん剤の副作用と闘い、身体機能も低下した利用者さんへのリハビリテーションを経験して

ここ最近はがんに罹患している、もしくは、がんの治療後・治療中の利用者さんのリハビリをする機会も多くなってきました。

 

がんの治療の一つに抗がん剤があります。その抗がん剤の副作用で身体機能が低下したため、リハビリを行うことがあります。

 

抗がん剤の副作用としては痛み、だるさ、手足のしびれなどの症状がよく起こります。また、口内炎や吐気・嘔吐、下痢などで食欲が低下します。食欲が低下するという事は、体重の減少が生じます。体重の減少が生じれば、筋肉量も減少します。そして活動性が低下し、更なる身体機能・ADLの低下を招いてしまいます。がんと闘う、がんの治療を行うということはとても大変なことなのです。

 

現在担当している方は治療中でありますが、抗がん剤を始めてから食欲が低下し、それに伴い体重が大幅に減少し、筋力低下を招いています。筋力低下から姿勢は円背姿勢(猫背)となり、肩甲帯から腰にかけての筋肉に痛みがありました。食事中に座っているのも疲れる状態でした。

 

リハビリではまず上記の痛みを緩和し、ご自宅で過ごしやすくなってもらいたいと思い、その部位のリラクゼーション・肩甲帯のモビライゼーション(肩甲帯の動きをよくすること)を行いました。さらに自分で行うことのできる運動を指導し、痛みが緩和されました。

 

外を歩きたいという希望がありましたが、当初は歩く際にふらつきがありました。そこで転倒を予防する為に福祉用具を選択し、杖を使用する事にしました。練習を重ねた結果、近くで見守ることで外でも歩けるようになりました。

 

その過程では、ご本人の気分が落ち込みやすい状態が続くこともありました。看護師であるお嬢様と往診医とも相談し、薬の調整を行いながらリハビリを行いました。時には薬の調整がうまくいかず、さらに食欲が低下する事もありました。食事の補助として栄養補助食品を摂取し、できるだけ食事摂取するよう、ご本人にも頑張っていただきました。そのご本人の頑張りとお嬢様の協力により、少しずつ食欲や運動に対する意欲は向上し、体重も徐々に増えてきました。

 

リハビリ中は一緒に屋外を歩行したり、痛みの緩和を支援したりすることで、ご本人に笑顔も見られるようになりました。ご本人から「肩の痛みが良くなった」という言葉が聞けて、目に見えて元気になっていく姿を目にしますと、私自身も嬉しく、逆に元気をもらいました。

 

これまではがんの患者さんは、看護師が中心となってケアを行うことも多かったのですが、今後はリハビリの方でも何か貢献できるよう、さらにがんに対する知識を深めていきたいと考えています。

 

訪問看護ステーション凛

理学療法士 南山 聡太郎

コメント: 6
  • #6

    南山 聡太郎 (月曜日, 24 7月 2017 12:02)

    小林様 いつもコメントありがとうございます。
    抗がん剤を服用し、異物が身体に入ると、体を守る為に、
    体はその物質を身体の外に吐き出そうと反応してしまいます。
    抗がん剤が体に入ったことという情報が嘔吐中枢に伝えられたり、
    抗がん剤の刺激で嘔吐中枢を刺激したりといった事が起こるようです。
    そうすると強い吐き気や嘔吐が起きると考えられています。

    この方は強い吐き気・嘔吐・頭痛などがあり、食事量が減少していまいました。
    体重が低下すれば筋肉も痩せて硬くなることで、関節が伸びなくなったり、筋力は低下してしまいます。
    薬を調整しながら副作用を緩和し、食事量を上げていかなければなりません。リハビリにて痛みのある部位の緩和・筋力・関節の動きやADL(日常生活動作)能力等を維持し、少しでも自宅での生活が維持出来るよう、これからもサポートしていきたいと思っています。

  • #5

    小林京子 (土曜日, 22 7月 2017 23:43)

    抗がん剤の副作用は苦しいですね!
    副作用のない抗がん剤が出来ないのでしょうか?
    ご利用者様の頑張りと南山さんのケアで、少しでも痛み辛さが無くなる!
    笑顔になる!
    理学療法士さんの役割は幅広いですね!
    頑張ってください。

  • #4

    小林京子 (土曜日, 22 7月 2017 20:38)

    いつもお世話になっております。
    抗がん剤の副作用は、にんげんの体をボロボロにしてしまうのでしょうか❓
    もっと医療が発達して、苦しみなくガン治療ができるとよいのですが、、
    ご利用様の頑張りと南山さんのリハビリで痛みが緩和!
    すばらしいですね。
    いろいろな分野で患者さまが笑顔になれるよう、お手伝いができたら最高です。

  • #3

    小林京子 (土曜日, 22 7月 2017 19:35)

    いつもお世話になっております。
    抗がん剤の副作用は、にんげんの体をボロボロにしてしまうのでしょうか❓
    もっと体に優しい抗がん剤ができるとよいのですが、、
    しかしながら、ご利用様の頑張りと南山さんのリハビリで痛みが緩和された事ほんとにすごいですね❗
    痛みに負けずに痛みのない、笑顔の毎日がおくれますよいに!

  • #2

    小林京子 (金曜日, 14 7月 2017 21:21)

    いつもお世話になっております。
    癌患者さまのリハビリもあるのですね!
    抗がん剤には、様々な副作用があると聞いてますが、その痛みや筋力低下にリハビリが、大切な事なのですね。
    健康で、いられる事が1番の幸せですが、どんな状況になっても、自分らしく前に向いていれば、この患者さまのように笑顔がもどるのですね!
    凄いですね!
    毎日暑い日々が続いておりますが、どうぞ、ご自愛くださいませ。

  • #1

    小林京子 (木曜日, 13 7月 2017 23:27)

    いつもお世話になっております。
    抗がん剤の副作用に伴いリハビリをおこなうという事初めてしりました。
    抗がん剤治療の大変さ苦しさは、はかりしれませんが、南山さん担当のご利用者さんは、とても前向きに頑張ってられてるのだと、ブログから通じてきます。
    たくさんの人たちに支えられて、その方らしい人生をいきてるのですね。
    とても大変な役割でしょうが、その方らしい生き方の為に頑張ってくださいね(*^^*)
    毎日暑い日が続きますが、どうかご自愛くださいませ。