療養指導は『その人らしさ』のために

訪問看護師が行う指導は、実に多岐に渡ります。

 

心がけていることは、

 

 『理想を押しつけない』

 

この一言につきます。

 

人生背景、環境、家族構成、生活習慣や生活信条、病状、年齢、性別 etc.

 

誰一人として同じ人はいません。

 

私達、看護師(医療従事者)の常識や理想にあてはめようと頑張れば頑張るほど、問題点ばかり浮上してしまい、空回りします。

そして、こちらの都合で限界点を設けてしまうことになりかねません。

 

だから、指導は小出しに、できることから始めます。完璧は目指さない。

 

 『できることだけ頑張ろう!』

 

そう言い続けます。

 

病院と違い、退院日があるわけではありません。

これから先の長い年月、利用者さんもご家族もご自宅で頑張っていくのです、生きるために。

 

焦らず、確実に着実に『自分ができること』を増やしていく、

現時点でできないことは、私達専門職がフォローすれば良いのです。

 

そうして指導(…というのもおこがましい気持ちですが)してきたことは、不思議なほど定着します。

 

85歳のおじいちゃんが、奥様の気管切開と胃瘻のケアをしました。

80歳のおばあちゃんが、ご主人のストマケアを行い、痰吸引を行い、点滴の管理をしました。

 

私はご本人と介護するご家族の力を信じています。

そして、『できることだけ頑張った結果』が、その人らしく生きるための理想を形づくるのだと思います。

 

私はいつでも、『その人らしくあるための応援団』の団長でいたい。

いいえ、いつまでも団長でいます!

 

訪問看護ステーション凛

所長 野上 陽子

 

コメント: 2
  • #2

    野上陽子 (火曜日, 14 3月 2017 22:44)

    看護も介護も人生も、きっと、これが絶対正しい!という答えは無いのだと思います。
    悩んで迷って、泣いて怒って笑って、そうして過ごす時間の流れの中に、その人らしさがにじみ出ると感じます。老いることも成長の証。
    お母様も、ご自分なりの選択や対処をされています。正しい答えを探さなくても、その時に必要な答えは必ず見つかります✨

  • #1

    小林京子 (火曜日, 14 3月 2017 21:34)

    いつも母がお世話になっております。
    介護とは、大変な事ですね。
    思い通りにならなかったり、自分自身に余裕がなかったりすると、答えを見つける事ができません。
    私らしさ、母らしらさ❔
    老いは必ず皆やってきますね。
    その老いや思うように体が動かなくなったりすることへの不安や戸惑い、何をどうしたら良いのか、今の私の課題です。
    ご迷惑ばかりですが、よろしくお願いいたします。