私たち、在宅医療に携わる者の役割のひとつに、
「緊急性に乏しい救急要請を減らす」
ことがあげられます。
訪問看護には以下の2つの要素があります。
①定期的な訪問看護の実施
=療養環境の整備や療養指導、服薬管理や服薬指導、状態変化や悪化時の対処方法の指導等
②緊急訪問による訪問看護の実施
=状態確認・アセスメント後、主治医・医療機関への報告と指示受け、対処等
上記2点で効果が得られると、利用者さんの状態が安定し、利用者さんやご家族の不安も軽減、結果的に救急要請せずに自宅での療養継続をすることができます。
昨年末から訪問診療と訪問看護が開始となった利用者さんがいます。
介入するまでは、頻回に救急要請、入退院を繰り返さざるを得なかった(1年間のうち10ヶ月は病院で過ごし、ひどい時は退院した当日に救急要請されていた)のですが、介入してからは、まだ1度も救急要請していません。状態が比較的安定しており、不調時は往診医や訪問看護師に相談し、ご自分で対応もでき、不安も軽減されたと話されています。
「通院先の大学病院の担当医が驚くぐらいだよ!」とのこと。
訪問看護師としてはとても嬉しい言葉です。
その一方で、新たに生じた『心の隙間』について、先日の訪問時にお話を伺い、訪問看護師としてできる支援は何だろう、と考えさせられました。
その方は心筋梗塞で心肺停止から蘇生し、心機能は正常の6割程度でお独り暮らしです。
体調の悪い時は、入院により医療機関での大勢の人との関わりがありました。
在宅生活の中で体調が比較的安定して過ごせていても、フルパワーで何かに取り組んだり、好きなように飲食できたりする訳ではなく、週1回の訪問ヘルパーさんと訪問看護師、月2回の往診医、買い物などの外出時に他人と関わる程度。
「何となくボーッとして元気が出ないんだよなぁ」とのこと。
ご自身なりに体調を心配しなくなった分だけ『心の隙間』を感じておられる事がよくわかりました。
誰かが手を差し伸べて、関わりを多くすれば良い?
しかし、人は自分の人生を自分でプロデュースしなければならないし、そうでなければ自分らしく生きる満足感を得られないのではないか、と私は感じました。
食事・水分・塩分の制限はかなりストイックに守っておいでなので、活動する事が増えた分だけ消費カロリーもアップしているのかな?活動エネルギーが足りていないのも要因かな?と私は考え、「心臓や腎臓に負担をかけずに摂取カロリーをアップする食事の工夫」を提案しました。
今、その課題に取り組んでくださっています。少し『心の隙間』が小さくなっていくと良いのですが。
さて、このブログをお読みの皆様ならどうお考えになりますか?
訪問看護ステーション凛
所長 野上 陽子
コメントをお書きください
小林京子 (火曜日, 11 4月 2017 19:58)
いつもお世話になっております。
心の隙間は、体が健康な時も感じます。
なんだか、何をしても空回りだったり、心から笑ったりできなかったり、、
その隙間を感じてないときは、自分自身が充実してるときです。
隙間=淋しさではなく、隙間=達成感や充実感生きてるという実感かなと私は、思うのですが、、
お体が不自由になり、思うように体が動かなかったり、不安だったり、目標や「できたぁー!」「やったぁー!」がなくなると、隙間ができるのではないのかなぁーと思います。
が、どうでしょうか❔
最近のクリニックで医療事務の仕事を始めました。
25年働いてるレンタル店では、体が勝手に動くので、業務がマンネリ化してました。
そこへ新しい仕事を始めた事により、「まだ、こんな私でも、新しいことが覚えられる」「毎日が新鮮で楽しい」とても神経も使い疲れますが、なぜだか心がウキウキしてます。
これって隙間がうまってるんですよね(*^^*)
野上陽子 (火曜日, 11 4月 2017 21:44)
新しいお仕事で充実されているご様子❗
良かったです��
心の隙間、誰かに埋めてもらえるものではないですよね✨
『自分らしく生きること』
一時的に隙間を感じても
誰でも自分らしくいようと
知恵を出し工夫し
自分なりに隙間を埋める力を持っています��
お身体お大事に、充実した毎日をお過ごしくださいね✨
私達も頑張りまーす��