認知症について①―認知症ケアの課題―

こんにちは、理学療法士(リハビリ)の南山です。

先日、東京都北区の認知症ケア向上多職種協働研修に参加してきましたのでその内容について少しお話しさせていただこうと思います。

 

はじめに認知症についての講義がありました。

 

認知症の危険因子としては脳や心臓の疾患(病気)、糖尿病、喫煙、飽和脂肪酸の多い食事や運動不足などがあります。

 

いくつになっても運動は大切ですね。リハビリ職としてはこのあたりが特に気になってきます。

 

余談ですが、60歳以下の一般の成人の平均歩数は男性が8,202歩、女性が7,282歩です。厚生労働省はそこに1,000歩(時間にして約10分、距離で600~700m)をプラスした数字を目標に掲げています。つまり男性9,200歩、女性8,200歩になります。

歩くといった行為は心臓や身体に負担がかからず、一生続けられる運動です。一生できることをしなければ意味がありません。

 

すみません、話を戻します。

 

次に、保護因子としては複雑で高度な労働、豊かな社会的ネットワークと役割、精神的に刺激的な活性、高度不飽和脂肪酸を含む食事(魚関連、特に青魚)や運動などです。

 

つまり人々と交流を持って活動する機会を得て、日本食を中心とした食事を心がけ、さらに運動するといった事が必要になります。日本食は塩分少な目で魚が中心です。塩分を取りすぎて動脈硬化を起こしてしまうと認知症になりやすいということです。

 

アメリカの修道女を対象とした現在も進行中の研究があります。認知症の参考にご紹介させて頂きます。

 

対象の修道女は75~106歳で、若い時期から修道場で同じ食事・教育内容で生活し、禁煙・禁酒をしていました。

その中で若い時期から語学力が高かった修道女については、認知症の発症が少なかったのです。

現在の生活において、知的活動が少ないグループより、多いグループのほうが4年後の認知症発症のリスクは47%減少していたということです。

 

最後に多職種とのグループワークがありました。

 

私のグループでは介護福祉士・薬剤師・看護師・ケアマネージャー・歯科衛生士の皆さんが参加されていました。

 

ケーススタディを行い、その中で認知症の方の服薬に苦労しているという話が多くあがりました。

 

ひとり暮らしの方はつい薬の飲み忘れが生じがちです。特に要支援の利用者さんはヘルパーが介入できる回数は決まっているため、薬を飲ませるサービスやボランティアなどがないかという意見がありました。

 

一方で、薬を飲ませてその利用者さんに薬の副作用や状態の変化が発生した時に、その状況をきちんとご家族や担当のケアマネージャーへ報告したり、医療機関の受診を促したりできる方でなければ、服薬に関しての相談はできないのではないか、という議論になりました。やはり、服薬を見守ることには、服薬をフォローするという責任が生じますので、なかなか難しいのが現状です。

 

認知症は忘れずに服薬することで、進行の予防が大いに期待できます。これから認知症の方をどうフォローしていくか、まだまだ課題がありそうです。 

 

訪問看護ステーション凛

理学療法士 南山 聡太郎

コメント: 2
  • #2

    南山 聡太郎 (水曜日, 30 8月 2017 08:21)

    小林様、ご質問ありがとうございます。

    年相応の物忘れはあります。その他物忘れが幅広く進行したり、他の症状(わかりやすい症状ですと誰かに物を盗まれた、屋外を目的もなくうろうろ)するなどがあれば、認知症の可能性があります。診断には医師の診断が必要です。

    年相応の物忘れですが、最近の研究では高齢になる頃には、今までの記憶が詰め込まれているので、記憶する脳の隙間がない。いわゆる新しい事が覚えづらくなるようです。なので、何でも覚えようとせず本当に必要な事だけ覚えて、そのほかは無理に覚えなくてもいいのではないかといわれています。昔覚えた記憶は脳のある場所に保存されているので、思い出す事は出来ます。しかし、認知症が進行すると、思い出す(記憶を取り出す)事も困難になります。
    認知症の予防の為には、毎日頭を使い軽度な運動をして、脳に血液を送り、日々活動出来るように身体を使い、筋肉を落とさないようにする必要があります。
    私たちも同じですが、仕事をしていれば頭も身体を使いますよね?仕事帰りに電車に乗ったり、買い物したりと気づかない間に数字の計算や買うもの(例えば野菜)をその時考えたり、買おうと考えていたりと。
    病院の脳外科でリハビリをしていた時は、患者さんは仕事を辞めて数年以内の男性が多く入院してきているな~と感じる時期がありました。仕事を辞めてその時の活動をどう取り戻すかが重要ではないのかなと考えています。

    やはり、一人暮らしの方は薬の管理が難しいですよね。心療内科ですと、そのような悩みが多いと思います。近年、若い方の患者も多くなっていると聞きました。
    来年8月から年金収入が340万以上では介護保険の負担が2割→3割と見直されるようです。ますますサービスを使用するにあたり、厳しい状況になってくると思います。

    小林様も残暑が続いておりますので、お体お気を付けください。

  • #1

    小林京子 (火曜日, 22 8月 2017 20:15)

    いつも母がお世話になってます。
    認知症のケアは難しいですよね!
    年を取れば物忘れをしたりもありますが、またそれは認知症とは違うのですよね?
    母は、お薬カレンダーに1包化したお薬をセットしてくださる事で飲みすぎがなくなりました。
    心療内科の受付をしていて、28日分のお薬を一週間でのんでしまった患者さまがいらっしゃいました。
    ヘルパーさんが慌ててクリニックに来て下さいましたが、安定剤や眠剤の種類だったので、患者さまもふらふらされてました。
    やはり薬の管理が難しいとおっしゃってました。
    食事や運動で認知症になるリスクが減るのですね!そして薬の服用にも認知症になるリスクがあるのですね�
    ビックリです�‼
    いかに運動と食生活が大切か、薬の服用の仕方か大事かでしね。
    理学療法士さんのお仕事は、怪我をされたかたのリハビリのお手伝いをするかたと思ってましたが、ガン治療のかた、認知症のかた、認知症にならないための体作りもされる重要なポジョンのお仕事ですね!
    たくさん課題があることですが、どうぞ頑張ってくださいね!
    毎日雨続きで、母も体力消耗してるようです。
    南山さんもお体ご自愛してくださいませ。